Doll 24-Poison needle




「この問題なんだけど……」
「えっと、これは──」


私、何を期待していたんだろう……
普通に数学の宿題だった。
心なしか、休んでいた分の宿題もある気がする。


「なるほどね。複雑に考えすぎてたよ」
「……あ、うん」
「姉さ……アリス」


リクが耳元で囁いた。


「もしかして、何か期待してた?」
「ち、違──」


リクの顔が近付いてくる。
私は思わず目を瞑った。

そっと、リクの手が肩に触れて……
頬に触れて、リクの吐息が頬を掠める。

次の瞬間──


「宿題、ありがとう」
「へ?」


思わず間抜けな声が出てしまった。


「あれ? もしかして、本当に期待してたの?」


リクはからかうように言った。


「ち、違うよ……リクのバカ」
「顔赤いよ、可愛いな……もう」


リクに腕を引かれ、唇がそっと重なった。
──唇が離れ、リクと目が合う。


「お、おやすみ!」
「──おやすみ、アリス」


私は恥ずかしすぎて逃げるようにリクの部屋を出た。

自分の部屋に入ると、心を落ち着かせようと何度も深呼吸をした。


「はぁ……もう……幸せすぎて壊れそう……」



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