今日は１日、全くと言っていいほど授業に集中できなかった。


「随分な顔だな、アリス」
「誰のせいよ」


そう、原因はハルク。


「あの後、リゼルは大丈夫だったの？」
「当たり前だろ。オレが駆けつけたんだから」
「嘘つき」
「は？　嘘なんか──」　
「３限目。リゼル、来たよ」
「マジかよ……そんなキャラじゃねェだろ……」


溜め息一つ、ハルクは口を開いた。


「それより、あいつと一緒じゃないのかよ」
「リクなら友達と一緒」
「そりゃ、残念だったな」
「それで何の用、ハルク？」
「たまには一緒に帰ろうぜ」
「……何であんたなんかと」
「そんなに怒るなって」
「怒ってない！」
「怒ってんだろ！　オレと二人は嫌なのか？」


──ドキっとした。
それから鼓動が少しずつ早く波打つ。


「嫌に決まってるじゃない！」


この鼓動に気付かれたくなくて、ハルクから逃げるように走った。




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