Doll 24-Poison needle




「ハルク?……どこにいるのよ!」


肝心な時にいないんだから──


「此処にいるけど?」


アリスが空を仰ぎ見ると、屋上からハルクが飛び降りてきた。


「ハルク、大変なの!……リゼルが──」
「あいつなら心配いらねェよ」
「え──」
「早く教室、向かえよ」
「学校どころじゃないでしょ!」
「へぇ。リゼルの事、気になるってか?」
「──っ!」


思わず、ハルクの頬を叩いていた。


「リゼルは……普通の人なんだよ」
「何だよ、それ。オレが普通の人間じゃないとでも言いたいのか? あぁ、そうだよ。オレは──」


何かを言いかけて、ハルクは言葉を呑み込んだ。


「やっぱ、何でもねェ。リゼルは本当に助けなんていらねェと思うけど。オレと毎日のようにやりあってんだし」
「それは、そうだけど……」
「ったく、教室行こうぜ」
「う、うん……」


なんか……調子狂う…… 


「なぁ、アリス」
「何?」
「今、幸せか?」
「え?……あ、うん。幸せだよ、すごく」
「……そっか。ならいい」




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