Doll 24-Poison needle
アリスとリゼルの前に現れたのは、禍々しい程の殺気を放つ……ハルクだった。
「ハルク、じゃねーよな?」
リゼルが言った。
それは私にも……ハッキリと分かった。
「……つまんない……つまんない!」
そう言うと、ハルクが襲いかかる。
「はっ、上等だぜ」
リゼルは私を庇いながら、ハルクと拳を交わす。
互角、いや……それ以上なのかもしれない。
「……つまんない!」
大きく振りかぶった、ハルクの一撃をリゼルは片手で受け止める。
「ああ、つまんねーな」
ニヤリと笑って、リゼルが言った。
「ハルク。お前、こんなもんじゃねーだろ?」
リゼルの言葉に一瞬、ハルクの頬が赤く染まる。
「……やめた…………」
ハルクが髪を掻きあげると、ティーデに姿が変わった。
「やっぱり、テメェかよ」
「……なんで……」
「アリスに手、出したらブッ殺す」
「……つまんない」
校内を流れるチャイムの音が静かに響き渡る──
「行けよ、遅刻すんぜ」
「え?」
私と同じようにティーデも驚いていた。
「ホラ、俺が遊んでやるよ」
「……それ……おもしろい……」
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