Doll 2-Words that I wanted to convey
リーンゴーン……
チャイムと共に午後の授業が始まった。
午前中とは違って回りの視線が少し気になったけど、“家族”という言葉が私を守ってくれているような気がした。
ううん、そう思えた。
「はあ……」
夕日が差し込む頃、授業が全て終わった。
今日は一日がとても長く感じた。
「じゃあ私、クラブだから」
「うん、また明日」
私はクラリスと別れて昇降口へと向った。
そして靴を下に置いた。
と、同時に誰かの視線を感じた。
「シリア……」
振り返ると窓の外、校門前にシリアがいた。
シリアは私と目が合うと逃げるように走って行く。
私は靴を履き替えるのを忘れ、シリアを追った。
「待って!」
私はシリアの腕を掴んだ。
「離して!」
「聞きたい事があるの」
「聞きたい事……?」
私は出来るだけ落ち着いて、手紙と写真の事をシリアに話した。
……でも、手紙の内容は伏せた。
「あたし知らない……」
「じゃあ、どうして逃げようとしたの?」
「お姉さんが……怖い顔してるから……」
シリアは泣きそうな顔で言った。
私は、この子が本当にあのシリアなのかと疑いたくなる。
……周りに男子生徒がいないから?
「怖い顔って……あなた、散々──」
「リクに会えたんです」
「え──」
リクに会えた……?
どういう事?
今日、リクは欠席だって……
Arice・Dollじゃないから感じなかっただけ──?
「……今まで、ごめんなさい」
シリアは深々と頭を下げて言った。
聞きたい事が沢山ありすぎて言葉に出来ない──
私が思考を巡らせている間にシリアの背中は遠くなって行く。
「リク……会いたいよ──」
私の足はリクを求めて走っていた。
走って、走って……走ったのに──
やっぱり、リクは何処にも居なかった。
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