Doll 2-Words that I wanted to convey




「アリス、気にしちゃダメだよ」
「何が?」
「ハルクくん、妬いてるだけだから」
「……え?」


ハルクが妬いてる?
無い無い、絶対に無い!

でも、ハルクはよく思わせぶりな態度を取ったりする──
ハルクは何を考えてるのだろう……


「アリスが羨ましいな……」
「……どうして?」
「……何となく!」


そう言ってクラリスは笑って誤魔化した。

私が羨ましいのは、ハルクが関係しているのかな……
誤解なのに──


「……あ。中等部に行かないと!」
「ちょ、アリス?」
「ごめんね、クラリス。行ってくるね」


私は逃げるように教室を出た。

生徒達の話し声の一つ一つが私の噂話のように聞こえてくる──
中等部までの道のりは、とても長く感じた。


「リクは欠席?」


リクのクラスヘ着くなり、昨日の男子生徒が私にそう告げた。

確かにArice・Dollらしいものの気配は感じない。


「用事が済んだなら失礼します……」


私とは目を合わせようともしない。
必要以上は関わりたくないのだと思う……


「あ、あの……」
「……まだ何かあるんですか?」
「昨日は、ごめんなさい。私──」
「家族ですもんね。心配で仕方が無い気持ちも分かりますから」


男子生徒の表情が少し、穏やかになったような気がした。

“家族”
その言葉が温かくて、眩しくて涙が出そうになった。


「…………ありがとう……」


私は溢れ出そうな涙を堪えて笑顔で言った。



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