Doll 2-Words that I wanted to convey




「はあ……」


授業中ずっと、シリアの事が気掛かりだった。
同時にリク……Arice・Dollの事も……

しかし、何かを感じることも無く午前中は終わった。


「アリス、ご飯食べよ」


クラリスがお弁当を持って私の席に来た。
いつもと変わらないお昼休み。

二つ机を並べてお弁当を開く。


その時だった。


「ハハハァ!  おもしれーもん見付けた」


と、ドアが乱暴に開いてリゼルが入って来た。
賑やかだった教室は静まり返る。

リゼルはクラスメイトではあるけど、あまり学校に来ない。
来ると何かしらやらかす、要注意人物……

でも私達には関係ない。
──筈だった。


「コレ、オメーとスージィだよなァ?」


リゼルは私の所に来て、写真を叩き付けた。
写真を見て私は息を飲み込んだ。

写真には私とスージィが写っていた。
スージィに呼び出された時のものだった。

どうして、こんな物があるの?
どうして……リゼルが持っているの?


「オメー、スージィと出来てたのかァ」
「違う!」
「そうだよ! アリスは──」
「じゃあ、コレ……な~んだ?」
「!」


リゼルが出した物に私は更に青冷める。


「何これ……」
「手紙、だろ?  しかもラブレター」


確かに手紙には、見覚えがあった。
でも、ここにある物では無い……

その手紙はスージィからの告白文が書かれていたもので、断った後に破り捨てた。

しかし、ここにあるものは破った後すらも無く別物……


「まさか……」


シリアの姿が頭を過ぎる──

あの時、シリアが言ったのは
“モテるのも大変ですね”
だったのかも知れない──


「まさかって、マジなのかよ?」


教室内がざわつく。

皆の視線が私に集まっていくのが分かる……


「違う! これはきっとシリアが……」
「シリアって、中等部の?」
「うん……さっき──」
「オメーさ、後輩のせいにすんのか?」
「そうじゃない! でも……」


フェンス越しに見えたシリアの姿が頭から離れない……


「そんなんどうでもいーし。肝心なのはこっちだし、な」


そう言うとリゼルは手紙を広げて読み始めた。


「……私、スージィがいないと生きられない……だとよ」


リゼルはわざとらしく大声で言った。


「他にも反吐が出るくれー愛の言葉が綴ってあるしよォ~」
「やめて。そんな事、スージィの手紙には書いてなかった」
「当たりめーだろ。書いてねーもん」


男子を中心に皆が笑う。

私は、拳を強く握り締めた。


「自分で書いたクセに覚えてねェの?」


そう言ってリゼルは私に手紙の内容を見せた。


“スージィへ

放課後、大事な用事があります。
この熱い気持ちを君に伝えたい──

アリス”


手紙の内容は紛れもなくスージィからのものだった。
ただし、名前が入れ替わっていた。
明らかに誰かが細工している……

私は恐怖に身震いした。



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