Doll 22-Shadow




「アリス、こっちだ!」


ハルクが指差したのは工事現場の先にある森だった。

森の中を暫く走ると、倒れている人影を見付けた。


「セツナとラセン、か?」


駆け寄り、二人を見て息を呑んだ。
……二人は血の海の上、傷だらけで倒れていた。


「おい、セツナ! 何があったんだよ!」


セツナは虫の息だった。


「ラ…………セン………………は?」
「大丈夫、眠ってるだけ」


嘘をついた。
ラセンは……既に……


「ウ……ソ…………へ………………だな…………」


“嘘が下手だな”
いつもなら笑って受け流せるのに、今は……無理。


「くそッ! 何があったんだよ、セツナ!」
「ラ……セン…………笑って……か」
「ああ」
「…………なら……い──……」


セツナは笑い──……息を引き取った。


「いやぁぁあああっ!!!」



.
25/29ページ
スキ