Doll 2-Words that I wanted to convey




「行ってきます」


支度をして私は学校に向う。
早すぎるとは思ったけど一刻も早く誤解を解きたかった。

クラリスはきっと朝練習に出ている……



学校に着くと、心地よく楽器の演奏が聞こえてきた。
その中にはクラリスのフルートの音色もあった。


時計を見るとまだ7時半前。


「まだ、早いよね……」


練習の邪魔をするわけにもいかないと、時間を潰す事にした。


向った先は図書室。
本当は昨日、行くつもりだった。


「Arice・Doll……っと」


指で本を追いながら探していく。
一冊ずつ丁寧に“Arice”と入っている本を探していくが見付からない。
同じ“アリス”でも、あるのは“Alice”──

当たり前の事なんだけど……


「……これも違う……」


もしかしたら、Arice・Dollに関する資料は無いのかもしれないとさえ思ってしまう。



リーンゴーン……
朝練習の終了チャイムが鳴る。

そして、本は見付からなかった。

私は取り出した本を戻して、図書室を後にした。




「……あの子が……アリス?」



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