Doll 2-Words that I wanted to convey
「クラリス!」
私は更衣室から出てきたクラリスを呼び止める。
「……ア……リス?」
クラリスは一瞬、戸惑った表情を見せたが笑顔を取り繕った。
「ゴメンね……昨日は突然の事でビックリしちゃって……」
そう言ったクラリスの目の下にもクマが出来ていた。
クラリスも寝てないんだ……
「私こそ、ごめんね。でもハルクとは本当に何も──」
「考えてみれば分かる事だったのにね……私、無神経だった」
「え?」
「私、アリス達の事……応援するから」
「違──」
リーンゴーン……
チャイムが私の声を掻き消した。
「ほら、授業が始まるよ!」
私の手を取って走るクラリスは、いつものクラリスだった。
明るくて笑顔が素敵な──
だから尚更、ハルクとは何も無いなんて言えなかった。
また気まずくなるのも嫌だから、時間に全てを委ねたい……
私は小さく頷いて自分の足で走る。
と、フェンスの向こう側に人影が見えた。
「シリア……?」
シリアがフェンス越しに私を見ていた。
そして、シリアはゆっくり口を動かした。
でも何を言っているのかは聞こえなかった──
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