Doll 22-Shadow




深い森の中、不自然に屋敷が聳え立つ。
カブラは一瞬、躊躇い……ドアを開けた。


「誰かと思えば君か」
「久しぶりだな、ゲッカ……やはりクロノも一緒か」
「アタイとゲッカは一心同体だからね。それより、アンタこそ一人?」
「自分は昔から一人だ」
「……まだ引きずってんのね」
「ほっといてくれ。それより、さっき出ていった男はもしや」


クロノはニヤリと微笑んで答える。


「あぁ、力を手に入れた。お前も得るか? 大切な人を取り戻す──」
「自分には取り戻す大切なものなど、ない!」
「そうかよ。じゃあ何故、此処に導かれた?」
「…………心を無くす為だ」
「何故だ!  そんなことをすれば──」
「黙ってな、ゲッカ!……カブラ、いいのか本当に?」


戸惑いを隠せないゲッカ。
だが、クロノは冷静だった。


「自分には果たすべく役目がある……心は邪魔でしかない…………して、クロノ。お前こそ……いいのか?」
「あん?」
「力を使いすぎたら──」
「アタイを誰だと思ってんの?」


ニヤリと笑ってクロノは言った。


「…………ゲッカはどうなる?」
「これがアタイらの役目」
「そういうことだ。とうに覚悟は出来ている」
「納得したか?  そんじゃ、先ずはコレに着替えてもらおうか」


と、クロノが差し出したのはメイド服であった。


「ぬ、ぬぁんだ…………コレは……」
「心を無くす覚悟あんだろ?」
「そ、それとこれとは……」


クロノは真っ直ぐにカブラを見つめる。


「お前も本気、ということか」
「アタイはいつでも本気なんだよ」
「その本気が間違っているんだがな」
「……黙れよ」


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