Doll 22-Shadow




「だぁッ……休戦だ!」
「賛成……」


ハルクとリゼルは芝生に倒れ込む。
二人は昨日、アリスと別れてから工事現場近くの空き地でお互いの力を試していた。


「その体力もリンネから貰ったのか?」
「元からだっての」
「嘘こけ」
「嘘じゃねぇ!!」
「あー……はいはい」


投げやりな相槌を打つとハルクは目を閉じ、穏やかな時を感じる。


「うぜぇ」
「お前もな、ちったぁ加減しろよ!  じゃなきゃ──」
「何度も聞いたっての!  アリスだろ!」
「わ、分かってんならいい」
「何だよ、急にらしくねー顔しやがって」


溜め息一つ、リゼルは呟く。


「……テメェは……その……アリスのこと、どう思ってんだ?」
「何だよ、急に」
「俺はアイツが好きだ」
「…………そんで?」
「テメェに聞いてんだよ」
「何でオレがお前に言わなきゃ──」


殺気を込め、ハルクを睨むリゼル。


「……分かんねェ」
「はぁ?  ここは腹割って話すとこだろが!」
「本当なんだよ。“あいつ”のせいかもな 」


と、溜め息をつく。


「誰だよ、アイツって」
「……何か企んでやがんのか?」
「何、ボソボソ言ってんだよ…………あーあ、俺だけ暴露かよ」
「恥ずかしいな、ソレ」


からかうようにハルクが言った。


「ふざけんじゃねぇ!!」



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