Doll 22-Shadow




暫くしてリクの唇が離れる。

私、夢……見てるのかな?
ずっと、夢見てる?

──波打つ心臓と残るリクの温もりが現実と教える──
リクって、こんなに積極的だったんだ……


「……ゴメン」


リクは真っ赤な顔で言うと俯いた。


「う、ううん…………び、びっくりしたけど━──」
「でも、本気なんだ」
「……あ……ありがとう…………」


何故かは分からないけど、
“私も好き”
の一言が言葉にならない。
ずっと、伝えたかった言葉なのに──

心のどこか、まだリクのこと疑ってる私がいるの──?


「姉さんさえよければ──」
「間もなく図書館は閉館します──……」


リクの言葉は校内放送に遮られた。


「帰ろうか……“アリス”」


そう言って、リクは手を差し出す。


「…………たし…………買い物あるから!」


無意識に出た言葉だった。
私、リクの手を……言葉で振り払ったんだ……


「付き合うよ。夕飯のでしょ?」


リクの言葉は当然だった。
帰る場所は同じ。


私達が図書館を後にすると同時に拾い忘れた本を拾った人物がいた。


「…………この本は……」


それを私は知る由もない──



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