Doll 22-Shadow
“リク……起きろ──!”
脳裏に響く、僕を呼ぶ声……
ゆっくりと目を開くと薄暗い部屋にいた。
『ここは……』
『とある屋敷。君はずっと眠っていたんだ』
声は聞こえるのに誰もいない。
……見えないだけ、か?
『……君は誰だ?』
質問を投げ掛け、耳を研ぎ澄ます。
『僕は君』
『どういう意味──』
『今、アリスが危険にさらされている』
『なん……だって? 姉さんに何が──』
『君を捉えていた闇が彼女に襲いかかろうとしている』
『闇?』
辺りを見渡すと、部屋が暗いのではなく闇に包まれていたことに気付く。
『リク、早く行け! 今なら……抜けられる!』
『よく分からないけど、お礼を言うよ』
リクは闇を振り払い、光の中へ飛び込む──
「……また、だ。また、あの日の夢……」
「リク──」
「……っ!」
姉さんの言葉を遮るように、再びキスで口を塞いだ。
罪悪感と不安と動揺と……
──僕はまだ、闇から抜け出せていないのか……?
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