Doll 21- continuous rain




部屋に戻るとハルクがいた。
窓の外を見ながら腕を組んで……足を鳴らして……明らかに苛立っていた。


「おい、あいつには気を付けろよ」
「分かってる」
「分かってねェよ。あいつが帰ってきたことで俺はこの家にいられない」
「え……なん──」
「考えりゃ分かんだろ。それに……仮にだ、リクが本当にArice・Dollから解放されてきたとしたら……」
「可能性はある……の?」
「さぁな。けど、邪悪さは全く感じねェんだよ……Arice・Dollのやつ、何を企んでやがる……」


“邪悪さを感じない”……
それって本当に──


「そういや、昔──……」


気持ちが舞い上がって、ハルクの言葉が耳に入ってこない。


「って、聞いてんのか?」
「き、聞いてるよ!」
「そんな感じだから油断だけはすんじゃねェぞ」
「……分かってるよ」


この時の私には分かっていなかった。



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