Doll 20- Words of knife
ハルクが向かったのは、私の部屋だった。
「馬鹿じゃないの?……馬鹿っ」
「なんだよ、いきなり──」
「もう遅いのよ! 何もかも!」
「なんの話だよ」
「さっさと力、取り戻しなさいよ!」
「分かって言ってんのかよ! 今、オレが力を取り戻せば──」
「私のこと守れる自信ないの?」
「……誰にモノ言ってやがる」
ふわりとハルクの腕に掴まった。
その身体は微かに震えていた。
……誰かを守るって、確かにすごく怖い。
同じように守られることも──
今まで見てきた“死”がそう思わせているのかな……
それとも──
「……いつの間にか、臆病になっちまってたな…………サンキュー」
ハルクは呟いた。
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