Doll 20- Words of knife




「……久しぶりだな。アイ……今はArice・Dollだったか?」
「カブラか。一人で乗り込んで乗り込んで来るとはな」
「笑わせるなよ、Arice・Doll。こんなちんけな廃墟がアジト?  んなワケねーわな」
「…………こそこそ嗅ぎ回っているのに気付かなかったとでも?」
「こそこそはしてないがな。結果的に誘き出せた」
「くははっ!!」
「……何が可笑しい?」
「カブラ、忠告だ。“昔”とは違うぞ」
「何も変わってないさ、自分も貴様もな。だか、力の差は昔とは違うがな」
「どうだか。……Glassが狙いか?」
「そうだ──」
「それとも、エリーゼか?」
「何言って……まさか……」


不敵に笑う、Arice・Doll。
カブラのこめかみを汗が伝い落ちる。


「事実?……貴様ッ……何故……エリーゼを甦らせたッ」
「僕のなんだから自由だろ?」
「ふざけるな!!  貴様のなんかじゃない!」
「お前も、そして“アイツら”も“元々は僕の”だったんだけどなァ」
「違う!!」


カブラが取り乱すとArice・Dollは不敵に笑い奇声をあげながら続ける。


「エリーゼはもう完全に僕のモノに戻ったのさァ!  心も身体もなァ!!」
「彼女はそんな女じゃ──」
「見せてやるよ」


辺りが漆黒の闇に包まれる。
その中から癖毛がかった赤黒い髪、露出の高いドレスを着た背の低い女が現れた。


「呼びまして?」
「……エリーゼ! 」
「あら、カブラ。お久しぶりね」
「ヤツを勘違いさせるなよ、エリーゼ」
「勘違いも何も」


エリーゼはArice・Dollの首に手を回し口付ける。


「“昔の恋人”の目の前で……はは!」
「言葉より早く理解出来たのではないかしら?」
「……ろ…………やめろ……」
「おやおや、もうGlassどこではないか」
「自分を昔と思うなァ──」
「変わってないよ、お前」


Arice・Dollの放った暗黒の閃光がカブラを直撃。


「うぁぁあああああああ──」
「やっぱり変わらないもんだな。ああ、君には酷だったかな?」
「いいえ。精々しましたわ」
「仕留めてはないけどな。アレは面白い」


Arice・Dollとエリーゼは闇へと消えていく。


「…………ざ……け……ッ」


呟くとカブラは意識を手放した。



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