Doll 2-Words that I wanted to convey
「ハルクくん、隣のクラスだって。残念だなぁ」
放課後、教科書を鞄にしまっているとクラリスが言った。
クラリスの情報は、いつも早い。
「逆に良かったんじゃないかな」
「どうして?」
「ずっと顔を合わせてたら、息がつまりそうだし飽きそう……」
「……納得」
私とクラリスは顔を見合わせて吹き出して笑う。
「だけど、好きな気持ちは変わらないと思うなあ」
クラリスがキラキラ輝いて見えた。
恋をしてるからなんだよね、きっと。
リクが傍に居た時、私も輝いてたのかな……?
リクに会いたいよ──
「じゃあ私、クラブだから」
クラリスはフルートを鞄から出して言った。
「アリスもクラブに入れば良かったのに」
「そうだね……今からでも入ろうかな」
「え?」
「……冗談」
リクと少しでも長く居たいからクラブに入らなかった。
大人になれば自然と離れていく。
それが凄く嫌で仕方がない……
「見学くる?」
「調べものがあるから遠慮しとく」
そう、“Alice Glass”を一刻も早く見付けないと。
どこにあるかさえ分からない今は、とにかく調べるしかない──
「……クラリス、ありがとう」
「ううん……じゃあ行くね」
「頑張ってね!」
私は笑顔で言った。
クラリスもまた笑顔で“ありがとう”と言ってくれた。
「さてと」
帰り支度を終えて、教室を出ようとした。
その時──
「痛……っ」
激しい頭痛と耳鳴りに襲われる。
そして──
“…………サァ、始めよウカ……”
そう、声が聞こえたような気がした。
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