Doll 19-First Love
ラセンがいなくなって一週間が過ぎた。
嫌でも寂しさは薄れていく。
Arice・Doll達の動きもピタッと止み、“いないのが当たり前”そんな時間が流れる。
机の引き出しの鍵は置いてあった場所にはなく、探さなきゃいけないという気にもならなかった。
“もしかしたら”そんな淡い期待がそうさせたのかもしれない。
リクの笑顔も当たり前のようにあったものだから。
「アリス、何してんだよ。遅刻すんぞ」
その声に我に返った。
「……今行く」
窓から顔を覗かせると、ハルクとリゼルが私の部屋を仰ぎ見ていた。
3人で学校へ行くのも慣れ始めた。
道中で二人はよく喧嘩する。
時々、リゼルと指先が触れたりもする。
私は思わず、「ごめん」と謝って手を引っ込めるばかり。
その度にリゼルは不機嫌になっている気がする。
今日もそう……
「なんだよ。人の顔をジロジロ見やがって」
「ごめん……」
「あ、いや……そうじゃねぇって」
気まずい空気を感じることが多くなった気がする。
“好き”
この言葉が妙に引っ掛かっているせいもあるかもしれない。
「最近、お前ら気持ち悪りィぞ」
「ハルクには言われたくない」
「テメェにだけは言われたくねぇ」
リゼルと声が重なって、一瞬……ドキッとした。
「わ、私先に行くね!」
私は気まずい空気から逃げるように走った。
「何があるか分かんねェだろ!」
と、続くハルクとリゼル。
最近、色んなことがありすぎる。
リクの事が好きな自分の存在が揺らぐ。
そんなの嫌……
リク……リク……
「リク……」
今すぐ会いたい。
不安を打ち消したい──
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