Doll 2-Words that I wanted to convey
教室に入って席に着く。
私は、呼吸を整えてクラリスを見た。
「クラリス?」
「…………どうしよう……っ」
クラリスの耳は真っ赤だった。
「私……ハルクくんの事が──」
“好き”
……その言葉に胸が苦しくなる。
同時にリクが遠い存在に感じた……
「アリス?」
クラリスは心配そうに私を見た。
私は小さく首を横に振って頷く。
“自分でリクとの距離を作ったらダメ”
だと──
「……なんか、クラリスの好みが分からなくなってきた」
私は、からかうように言った。
「いきなり黙るから、何かあるのかと思えば……」
私とクラリスは顔を見合わせて、クスクス笑った。
「ね、私とハルク。どっちが大切なの?」
クラリスの答えは分かってた。
私は少しの安心感が欲しかったのかもしれない。
「……う~ん……」
クラリスは、少し考えるそぶりを見せて口を開いた。
「アリス、かな。ハルクくんは出会ったばかりだし……」
「日数があったら変わってたって事?」
「うん」
「ヒドいなあ、それ~」
「冗談だよ」
「分かってる」
雑談や恋話……
楽しい時間は一瞬でも辛い事を忘れさせてくれる。
「それに、いざという時に頼れるのは友達や家族だもん」
「頼りにしてるよ、クラリス」
冗談を言ってみたり、愚痴を言ったり。
悩みを打ち明けたり、相談にのったり。
それこそ、友達にしか言えない事もある。
だから時々、喧嘩もするんだよね?
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