Doll 2-Words that I wanted to convey




教室に入って席に着く。

私は、呼吸を整えてクラリスを見た。


「クラリス?」
「…………どうしよう……っ」


クラリスの耳は真っ赤だった。


「私……ハルクくんの事が──」


“好き”
……その言葉に胸が苦しくなる。
同時にリクが遠い存在に感じた……


「アリス?」


クラリスは心配そうに私を見た。

私は小さく首を横に振って頷く。
“自分でリクとの距離を作ったらダメ”
だと──


「……なんか、クラリスの好みが分からなくなってきた」


私は、からかうように言った。


「いきなり黙るから、何かあるのかと思えば……」


私とクラリスは顔を見合わせて、クスクス笑った。


「ね、私とハルク。どっちが大切なの?」


クラリスの答えは分かってた。
私は少しの安心感が欲しかったのかもしれない。


「……う~ん……」


クラリスは、少し考えるそぶりを見せて口を開いた。


「アリス、かな。ハルクくんは出会ったばかりだし……」
「日数があったら変わってたって事?」
「うん」
「ヒドいなあ、それ~」
「冗談だよ」
「分かってる」


雑談や恋話……
楽しい時間は一瞬でも辛い事を忘れさせてくれる。


「それに、いざという時に頼れるのは友達や家族だもん」
「頼りにしてるよ、クラリス」


冗談を言ってみたり、愚痴を言ったり。
悩みを打ち明けたり、相談にのったり。
それこそ、友達にしか言えない事もある。

だから時々、喧嘩もするんだよね?



.
5/23ページ
スキ