Doll 18-Puzzle piece which disappeared
リゼルに抱き締められてから、どのくらい経っただろう?
彼の鼓動はまだ鳴り止まない。
カーテンの隙間から差し込む光。
眩しさに目を伏せた瞬間、ドサッと物音がした。
音は下からだった。
そうだ、下にはハルクがいる。
「離して!」
リゼルを突き飛ばして部屋を飛び出す。
無我夢中で階段を下りて居間を目指す。
助けて、ハルク──!
「ハルク!……何やってるの?」
ドアを開けて愕然とした。
さっきの物音はハルクがヨイチさんを押し倒した音だったと悟る。
ハルクは動じる様子もなかった。
更に、ヨイチさんのはだけた着物から微かに見える胸。
「邪魔すんな、アリス」
信じられない言葉が胸に突き刺さる。
「ハルク……わ、悪かったわね!」
思わずハルクの頬を叩く。
「ってぇな! 何すんだよ!」
「そういう趣味があるなんて思わなかった!」
「どういう趣味だよ!」
「落ち着きなはれ、二人とも」
ヨイチさんすらまともに見れない。
ハルクを叩いた手がじんじんと痛む。
「最低……っ」
こんなやつに助けを求めようとした自分が一番最低に思えた。
胸が苦しくて苦しくて辛いのは何故──?
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