Doll 17-Sound of rain to fall in a heart
「へェ。やっぱ、女なんだな」
部屋に入るなり、リゼルは呟いた。
「あの……話って」
「まぁ、焦んなよ」
リゼルは物色するかのように室内を見回す。
「やっぱり、下に──」
「ん? 硝子の破片?」
「それは──」
きっと写真立てが割れた時の……
「ここか?」
「やめて!」
引き出しに伸ばされた手を弾く。
「悪りぃ……なんて言うか、調子乗っちまった」
「帰って……」
「だから、悪りぃって──」
「お願い……お願いだから……」
リクを好きだって知られたくなかったわけじゃない。
粉々になってしまった思い出の封を見たくなかったわけでもない。
ただ、リゼルが怖くなった。
「俺が怖いのか?」
「…………」
「悪り……じゃねぇな。ゴメン。嫌われたくねぇんだ、お前に」
風を感じたと思った時にはリゼルの腕の中に私はいた。
「アリス、俺は──」
リゼルの心臓の音が身体に伝わってくる。
静かすぎる夜が明けていく──
Doll 17-Sound of rain to fall in a heart....END....
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