Doll 17-Sound of rain to fall in a heart




「おっし。んじゃ、先ずは服を脱げ」


薄紫髪の露出度が高めのメイドと思われる女が言った。


「……は?」
「クロノの言葉は直に聞いた方が身の為だぞ、セツナ」


今度は紺色の長い髪の体格のいい露出度が高めの男が言った。


「いや、しかし──」
「条件、その1!  アタイの好みの身体である事だ」
「何だ、それは……そもそも、この屋敷は主人よりも──」
「アタイが主人だ。ゲッカは犬。アンタも犬になりに来たんだろ?」
「帰らせてもらう」


セツナが背を向ける。
と、クロノが右手を振り上げる。


「簡単に背中を見せるもんじゃないよ、男前な兄ちゃんよぉ」
「な──!」


クロノの振るった鞭がセツナの服を裂く。
彼の体には傷一つない。

「ん~合格だ。アタイ好みな良い身体だよ」


満足そうに彼女は微笑む。


「……少なくとも鍛えは怠っていないからな」
「まだまだ足りないけどね」
「何?」
「扱き甲斐がありそうだ」
「言ってくれるな。だが、先ずは服の弁償を──」
「案ずるな。うちには優秀なメイドがいる」
「メイド?」


セツナは辺りを見渡すが、それらしき人物は見当たらなかった。


「犬、時々メイドだ」
「……どうも」
「照れながら言うな」


クロノはセツナを見つめ嬉しそうに微笑む。

室内に草木が風に揺れる音だけが響き渡る──



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