「あなた一体……」
「アイツは、“心-イノチ-”に触れたヤツの姿を記憶できるんだ」
「ワケ分かんねぇ！ おい、もっと分かりやすく説明しやがれ！」
「ミドリ頭には関係ない、聞き流せ」
「はぁ？ ふざけん──」
「ドラ。今の私だったら抱ける？」


もう一人の“私”は微笑むと制服に手を掛ける。

「反吐が出る。ぶっ殺──」
「ぶっ殺すッ！」


ドラージュに被って叫んだのはリゼルだった。
そして、そのままもう一人の“私”に殴りかかる。



ボテ──

地面に落ちたのはフラップの頭だった。


「いやぁぁあああっ！！！」
「痛いじゃない、どうしてくれるの？」
「盾にしたのはテメェだろ」
「痛がってるわよ、彼」
「死にたがってたんだ、幸せもんだろ」
「酷いわね」
「笑ってるテメェもな」
「あら、彼女の笑顔は嫌いだった？」
「テメェとアリスを一緒にすんな」


どうしてリゼルは平然としていられるの──？
あの時とは違うって思ったのは、私の思い違いだったの──？


「フラップは壊れてねぇよ」
「え？」
「あんなんじゃ、な……壊せないんだよ」


でも、頭が──

ハルクが言った事が頭を過る。

「人間ってのは信じねェぜ」

じゃあ、一体──？


「動じない上に怯まない。そういう男って嫌いじゃないわ」

「な──ッ」
「え──」
「マジ、かよ……」


私達は一斉に固まる。
もう一人の“私”がリゼルの唇を奪った。


「なッ、なッ……何すんだーッ！」


リゼルがもう一人の“私”の頬を思いきり打つ。

「良い手してる……こういうのも━━」
「ざけんな！」
「わたしは本気」
「オイオイ、マジかよ」
「ねぇ、ドラもこんな気持ちなの？」


もう一人の“私”の姿が変わる。
淡いピンク色の女の人。
━━保健室で見た映像(ビジョン)の人。


「わたしはティーデ」


そう呟くと彼女は消えた。



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