Doll 17-Sound of rain to fall in a heart




「クラ……リス?」


アレは夢なんだ。
やっぱりクラリスは生きていた──!


「クラリス──」
「待て、アリス」


ドラージュに腕を掴まれる。


「離して!」
「ォイ! ティーデ、どういうつもりだ!」


クラリスはニヤリと笑う。


「退屈しのぎに決まってるでしょ」
「悪趣味」
「変態にだけは言われたくない」
「ボクのどこが変態だって?」
「その格好。気持ち悪い」
「ボクの勝手だろーがよ。大体、誰なんだよその姿は!」
「知らない。わたしが生まれた時には記憶にあったんだもの」


この二人が……何を言っているか分からない。

クラリスが目の前にいるのに、何で?
──恐怖で足が震える。


「ね、もしかしてドラの好きな女って」


クラリスの細くて冷たい手が胸元に触れる。
その瞬間、体が熱くなった。
嫌な汗が背中を伝っていく──


「口説きの邪魔すんじゃねぇよ」


その手をドラージュが乱暴に払う。


「相手にされてないくせに」
「うるせぇ、出来損ない」
「ドラも一緒じゃない」
「ボクは違う。証拠、見せてやるよ」


空気が渦巻く。


「何? わたしとやるの?」
「手加減しね──」
「アリスから離れろや、テメェ!」
「うぉ、危ね」
「リゼル……?」
「遅くなってその……わ、悪か──」
「ミドリ頭、お前もか?」
「あ?」
「邪魔すんのかって、聞いてん──」
「きゃあっ!」
「隙が……ありすぎるわ」


フラップが足にしがみ付いて一気に自由が奪われる。


「ボクを壊シテ」
「そんじゃ、望み通りにやってやる!  おらァッ!!」


リゼルの蹴りがフラップの鳩尾に入る。
直も殴りかかろうとする彼に私は思わず叫ぶ。


「ダメ!  相手はまだ子供──」
「でも痛みは感じない」
「おいおい、どういう冗談だ?……アリスが……二人だと?」


リゼルが驚くのも無理はない。
さっきまでクラリスだった人物が、“私”になっていたのだから……



.
3/9ページ
スキ