Doll 16-Dora




「ん……」


チャイムの音に目を覚ます。


「見っけ」


声に驚いて飛び起きる。
と、ふわりと背中に体温を感じた。


「あなたは……今朝の──」
「ドラージュだよ。な、ドラって呼べよ。お前だけ特別」


状況が理解できず、視線だけを動かす。
カーテンの隙間から先生の手が微かに見える。


「先生に……何をしたの?」
「何も。ただ、二人で話したかったから」


ドラージュの私を抱き締める腕が強くなった。


「離して下さ──」
「あれから、ずっと気になってた。ね、ボクのモノになんなよ」
「え?」
「告白してんの、分かんでしょ」


耳に触れる吐息……
体が熱くなる──


「でも、あなた女じゃ……」
「美男子、だぜ? ほら、胸ねぇだろ。ははっ」
「あ、あの……こ、困ります」
「んなこたどーでもいい。返事は?」
「私は──」
「拒否は認めねーけど?」
「きゃあ──」


ドラージュが前に回ると、強引に腕を引かれる。
目が合った瞬間、不覚にも“美人”と思ってしまった。


「恋人っつーのはキスから始まるんだっけか?」
「え、ちょ……ヤ──」


嘘……でしょ?
出会ったばかりの人とキスなんて──



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