Prologue Ⅱ




二人の喧嘩はリゼルが勝った。


「本当にただの人間になり下がっちまったのかよ……」
「原点だろ、ソレ」
「違う!  オレは──」
「鍛えが足りねぇんだよ、気持ちのなァ!」
「気持ちの──?」


私とラセンは二人を見守っているしか出来なかった。


「あんた達、ホントに一心同体じゃなくなったんだね」
「…………うん。でも、良かった」


傷だけでなく、心の共有も──
けど、心の何処かで穴が空いたような感覚もあった。


「あー……ちくしょ」


それからハルクはずっと空を見上げている。
夜が明けようとしている今も、ずっと──


「ハルク、一つだけ聞いて」
「……何だよ」
「私は諦めてないよ……ハルクが諦めさせてくれなかった」
「……」
「だから前、向いてるの!」


Glassは奪われた。
けど、リクは……Arice・Dollとしてでも存在している──
リンネだって姿を変えて生きていると信じたい。

まだ、間に合うよね……そうでしょ──?


「何、泣いてんだよ……泣き虫」


そう言って、ハルクは優しく私を抱き締めてくれた。
その腕は私がよく知っている彼の温もりだった──





Prologue Ⅱ....END....
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