Doll 15ーTell the end and an opening at time
「何……これ?」
「おはよう、ラセン。遅かったね」
「一体、何が……」
血生臭い部屋、ボロボロの私とハルク……
当たり前だけど、ラセンは状況が理解できないようだ。
「残念だけど誕生儀式は、お開きだ」
と、外から拍手が聞こえてくる。
それは次第に大きくなる。
「めでてぇ男」
「……あなたに言われたらお終いだよ」
窓の外に人影が見えた。
「覚醒したんだ、ダルク?」
「お陰様でな」
「今、目覚めたばかりだから……変な感じなの」
「でも、何で2人なんだよ」
「パパがご飯をたくさん与えすぎたんだと……思う」
「そんなこた、どうでもいい。パパが待ってる」
「誰……?」
涙で目が霞んで……よく見えない。
「簡単に言うと、リクの子供だね」
「え──」
「もっと分かりやすく言うと、ダルクが成長したんだよ。二人に分裂したみたいだけどね」
次から次へと色んな事が起こりすぎて頭が追い付かない──
「おい……ベラベラ余計な事を話すなよ。殺すぞ」
「怖いね、キミは」
「ソレを持ってさっさと来い」
「はいはい。行くよ、リコリス」
「タスクさん、待──」
「もう会う事がないと願うよ。」
「え?」
「次会うとしたら、殺す時だからね」
「タスクさんは……敵なんだな」
「あぁ。今更、何だよ」
「返せよ……返せ! それはアイツがオレに残したんだァ!!」
「ガラクタのお前に何が出来る?」
ハルクは一撃で弾かれ、床に倒れる。
「くっそ……っ」
「ハルク!」
ハルクは泣いていた。
悔しさと悲しみと無力さが入り交じったような複雑な表情で、タスクさんを……
自分を憎みながら……
拳は血と涙で汚れていた。
私はたまらずハルクを抱き締める。
彼の思いがより伝わってくる──
涙が溢れて……止まらない。
「タスク……貴様!」
ラセンがタスクに向かって拳を振り上げる。
「おっと、グラスが割れたら大変だ」
タスクを庇うように現れたのは、銀髪で右寄りにポニーテールをしている赤い目を持つ女だった。
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