Doll 15ーTell the end and an opening at time




「ウソ。リンネの言葉の意味を知りたいだろ?」
「何……するつもり──」
「誕生儀式だって言ったよな」


そう言って、彼はハルクに向き直る。


「起きろよ。仕上げはお前だ」


と、乱暴にハルクを起こす。


「良かったな、一心同体ともおさらばだぜ?」
「タス──」


ハルクが口を開いた瞬間、タスクさんはリンネの“心ーイノチー”を無理矢理食べさせた。


「むぐ──」


抵抗するも、まだ意識が朦朧としているのか無駄に終わる。
私は……ただ見ているしか出来なかった。

ハルクがリンネの“心ーイノチー”を飲み込み、暫くすると胸元が光り出す。
そこは、観覧車から降りた時にタスクさんが軽くどついた所。


「何だ……?  体が熱い……」
「安心しろよ。直ぐに冷たくなるさ」
「タスクさん、まさか──」
「その“まさか”だよ、アリス」
「ダメ──」


足に力が入らない……
止めなきゃいけないって分かっているのに──

タスクさんの腕がハルクの胸元を貫き、輝きを放つモノを取り出す。


「うがぁぁああああ――ッ」
「……はい、Glassの完成」


白銀に輝くカップのようなもの。
手のひらにすっぽり収まってしまうくらいに小さい。
底は鏡が付いているのか光が乱反射する。

それは、切なく儚くも……綺麗だった。


「リンネがハルクの中に戻る事で元の形へ戻る……簡単には見付からないはずだよね」
「それじゃあ……リンネは……」
「そ。ハルクの魂の欠片、元々は二人で一つだったって事……あぁ、ややこしい」


“会ったのは確かに初めてだった。
けど、オレはあの目を知ってる……そんな気がした”

今、私達はこの意味を理解した。


「ハルク。これでお前は……“ただの人間”だ」


タスクさんはAlice Glassを愛おしいそうに撫で、見下すような眼差しをハルクに向ける。


「人間……?」
「つぅか、人間でもねェか。なァ、ガラクタ野郎。あは……あははははっ!!」


タスクさんの笑い声を、遮るかのように扉が開いた。



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