Doll 1-Heart that failed




二日後、スージィの葬儀が行われた。


翌日……つまり今日は告別式。
今日は雨が降っていた。

私を含めたクラスメイト、スージィと関わりがあった生徒は両日に出席をした。


驚くことに棺の中に、スージィはいた。

私の目の前で煙となって消えたはずのスージィが、赤く干からびた状態で見付かったらしい。

スージィの家族の話によると、壁に寄りかかるように座っていた……
まるで、人形のように……
ハルクは、Arice・Dollが悪魔であり“人形”でもあるって言ったんだと私は悟った。

左胸辺りには穴が開いていたとも聞いた。
“心ーイノチー”がそこにあったからだと思う。


「……Arice・Doll…………」


私は呟いた。

同時に私は、またスージィに襲われるかもしれないと身震いした。


「アリス、顔色が悪いけど……大丈夫?」


クラリスが私の顔を覗く。
クラリスは一番仲のいい友達。


「うん、大丈夫!」


私は元気に笑って見せた。
あまり、心配させたくなかったから……



クラスメイト達が涙して棺を見送っている中、私はただぼんやりと見ていた。

そうしているうちに告別式が終わった。


「アリス、帰ろう……」


パパとママが私の手を握った。


「もう、子供じゃな──」


言いかけて飲み込んだ。

パパとママの手は震えていた。
私は、二人の手を強く握る。


「…………大丈夫……だよ」
「……え……?」
「リクは、ママの子供なんだから!」
「…………そう……ね……」


ママは涙を浮かべて笑う。
そんなママを見てパパが笑った。
私もつられて笑う。


「パパ、ママ」


私、“Alice Glass”を探すよ。
それで今度は、私がリクを助ける。


「やっぱり、何でもない!」


私は、パパとママの手を引っ張って歩く。


「アリス!……また明日、学校でね」
「うん」


私は手を振ってクラリスと別れた。


「アリス……ボクだけのアリス──」


この時、木の陰から私を見つめる存在に気付いていたなら、あるいは──

雨が強くなっていく。





Doll 1-Heart that failed....END....
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