Doll 15ーTell the end and an opening at time




「……Arice・Dollは悪魔だって、知ってるはずだろ!」
「そうだね」
「約束も守るようなヤツじゃ──」
「現にリコリスが元気になったじゃん」
「え……?」


私とハルク、リンネはリコリスさんを見る。
彼女の瞳には光が宿っていない。
その代わりに“T”という字が映っていた。


「Tasukuの“T”。オレっちのって印な」


そう言った、タスクさんの瞳にも“T”と映っていた。


「離れすぎると、少し壊れちゃうんだけどね」
「それって、あの時の事を言っているんですか?」
「そっか……観覧車ん中で壊れちゃったんだ。まだダメだね」


と、愛おしそうにリコリスさんの髪を撫でる。


「何でそんな……アリスが──」
「そう、余計な事をしてくれたよね」


タスクさんは私の前に立つ。


「余計な事……って?」


私は震える声で聞いた。


「一時的な目覚めがリコリスの精神を破壊に導いた」
「そんな事があるかよ!」
「月が夜の闇を照らすみてェに……」


タスクさんの中から殺気が溢れ出てくるのが分かる。
それを感じたのか、リンネは震えながら私にしがみついた。


「アリス……」


ギロリとタスクさんの瞳が私を捕らえる。


「お前の光がリコリスの体内で眠る、Arice・Dollの闇を彼女の精神を打ち砕いた……リコリスを壊したんだ」
「くっ……」


私へ向けられた拳をハルクが拳で受ける。


「タスクさん……どうして、Arice・Dollなんかに──」
「さっきから言ってんだろ?……大切なもんの為なら、悪魔にだって魂は売れんだよ」
「じゃあ……タスクさんは──」
「あぁ、死んだよ。お前が知ってる、“タスクさん”はな!」
「嘘だ……」
「嘘じゃねェよ、バーカ」


と、タスクさんは自身の服の前側を引き千切る。
波打つ鼓動の核は、時折……黒に染まっていた。

私もハルクも驚きを隠せない。


「まァ、平常心を保のも楽じゃなかったけど」


と、冷ややかな笑みを浮かべる。


「なん……で」
「何度も言わすんじゃねェよ!」


怒鳴ると同時にハルクを蹴り飛ばす。


「あがァ──……うぅ……」


ハルクは背中を思い切り壁にぶつけ、項垂れて再び気を失った。


「さて、と」


私はリンネに向かうタスクさんの手を背中でガードした。


「何?  まだ邪魔すんの?」



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