Doll 14ーRipe fruit and spider line




「待ってよ、ハルク!」
「ったく、早くしろ──」
「二人して何を慌ててんのさ?」
「タスクさん!……と、リンネ」
「オマケみたいな言い方!……やっぱり、アリスなんかキラい」
「ゴメンね……そんなつもりじゃなかったんだ」
「遊んでくれる?」
「もちろんだよ」
「じゃあ、許してあげる」


そう言って、リンネは嬉しそうに笑った。


「で、何があったの?……もしかして、Arice・Doll?」
「いえ、リコリスが──」
「気持ち良さそうに寝てんな」
「え?」


私とハルクは思わず、リコリスさんを見る。

彼女はタスクさんの言った通り、静かに寝息を立てて眠っていた。


「帰っか~。リコリスも久々の外出だったかんね」


タスクはリコリスさんを受け取り歩き出した。


「ほら、ボーっとしてっと置いてくぜ?」


何かが腑に落ちない。
それはハルクも同じみたいだった。


「あの、セツナとラセンが──」
「安心しろって。途中で拾ってく」
「はい……」


残るわだかまりを隠そうと下を向く。
と、リンネと目が合った。


「アリス、約束は守ってよね!」


そう言って、リンネは私の手を引っ張る。


「破ったら、またリンネが大変だもんね」


冗談のつもりで言ったのに、誰一人と笑ってくれなかった。

明後日は、リンネの7歳の誕生日。
つまり、“運命の日”──

「約束は守ってよね!」
リンネは、遠回しにこの日の事を言ったのかもしれない。



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