Doll 14ーRipe fruit and spider line




「ん……」
「ラセン……起きたのか」
「兄貴?  ハルクは──」
「リンネを連れて園内巡りらしい」


セツナはラセンから視線を外した。


「……アリスは?」
「はぐれた」
「捜しに行かないの?」
「……そうだな」


立ち上がったセツナの腕をラセンが掴む。


「変だよ、兄貴」
「お前はハルクを捜──」
「誤魔化さないで」
「何故、そんな必要がある?」
「……今の兄貴は嫌いだ」
「……」
「あたし、嫌われる事をしたのか?」
「違う」
「目を見て言えよ!  いつも兄貴が言ってん──」
「ラセン……」


と、ラセンを抱き締める。


「あに……き?」
「そうだ。兄貴なんだ」
「え?」
「以下でも、以上でもない」
「何だよ……ワケ分かんな──」
「それでいい」


そっと、ラセンの背中からセツナの指先が離れる。


「兄貴──」


ラセンが顔を上げた時、セツナの姿は無かった。


「……兄貴?」


と、呟いて背中の温もりを確かめる。


「冷たい……」



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