Doll 14ーRipe fruit and spider line
見慣れた景色が広がり、ゴンドラが地上に辿り着いた。
「秘密の話ってのは済ん──」
「タスクさんは?」
「さぁな」
「リコリスさんが大変なの!」
私はハルクに状況を掻い摘まんで説明した。
「行くぞ」
と、リコリスさんを抱き上げる。
「どこにいるか分かるの?」
「ねェよ、そんなもん」
「そんな……闇雲に捜すなんて」
「突っ立ってるよかいいだろ」
「辛そうなリコリスさんを連れ回すのは──」
「このまま見殺しにしろって言うのか?」
「そんな事、言ってない!」
深い溜め息で彼は冷静さを取り戻す。
「……頼まれたんだよ、オレ」
花火の光がハルクの悲痛な表情を見せる。
それは、さっき二人で乗った観覧車を思い出させた。
“悲しい涙よか、感動で泣けよ”
そうだよ……
私、悲しい涙は流さなかったじゃない。
「行こう、ハルク」
今、タスクさんに会えば不安は笑顔に変わる気がする。
悲しい涙は流れないんだ──
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