Doll 14ーRipe fruit and spider line
「セツナ、どうかしたのか?」
「ラセンとアリス……そして、リンネか」
「ほぇ?」
いきなり名前を呼ばれ、リンネは間抜けな声を出す。
「抱き締めた女……」
セツナの言葉にリンネは顔を赤く染める。
「……照れたのか」
「だっ、だって……あたし……」
「僕に惚れるのは駄目だ。アリスがいる」
「分かってるよ。セツナのバカ……っ」
頬を膨らますリンネに彼は妹を見るような視線を向ける。
が、それは直ぐに消えた。
「──誰だ!」
セツナは殺気を放ちながら振り向く。
「……タスクか。脅かすな」
「脅かしてなんかいないだろ……ラセン、よく眠ってるね」
そう言って、タスクはラセンの髪に触れる。
「触るな」
「それ、嫉妬?」
「馬鹿にするな」
「ラセンが好き?」
「な……何を唐突に」
「答えてよ」
「……」
「答えて。気になるじゃん、膝枕しちゃってさ」
「タスク?」
「大人の会話は耳に毒だよ」
と、タスクはリンネの耳を手で塞ぐ。
「セツ──」
「妹として……だ」
「ラセンがハルクを好きだから遠慮してんの?」
「違──」
「遠慮しなくていいじゃん。作られた兄妹なんだから」
「お前──」
「あぁ。ラセンは知らないんだっけ。作られた上に作られた関係なんざ面倒──」
反射的にセツナはタスクの胸倉を掴む。
そして、睨みながら口を開く。
「タスク……貴様、何が言いたい?」
「べ~つに」
「ふざけるな!」
「少なくとも……セツナよりは本気だけど」
「何?」
「二人とも、ケンカはダメ──」
リンネの言葉をタスクが手でそっと塞ぐ。
「……嘘。そんなムキになるなって」
「貴様──」
「膝の上」
「それがどうした!」
「起こしちゃっていいんだ?」
「……くっ」
セツナは怒りを押し殺しながら、対抗出来る言葉を探す。
「おい、リコリスはどうした?」
「気安く呼び捨てにすんなよな……関係ないんだから」
と、セツナを突き放した。
「そうだ、リンネ」
「何だ?」
「お前さ……何者なワケ?」
そう言って、タスクはリンネの頬に軽く手を添えた。
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