Doll 1-Heart that failed




「…………ねえ、ハルク……」


私は、部屋に戻るとハルクに話し掛けた。


「……私は、“Alice Glass”を見付けても……いいの?」


見付けてリクを助けたい。
だけど──


「ハルク……聞いてる……?」


ふと目に留まった写真を手に取った。


「見付けても……いいんだよね?」


写真に写る家族の笑顔が眩しくて、また泣いた。

気持ちを誤魔化すかのように部屋を見渡して、再び口を開く。


「ねえ、ハルク!……聞いてるの?」


返事は無かった。

焦りから声が震える。


「……答えてよ、ハルク!!」


返事はいつまで経っても返ってこなかった。

私の中のモヤモヤも晴れない。



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