Doll 14ーRipe fruit and spider line




「リコリスさん……今、何て──」
「え?  私、何か言いました?」


リコリスさんは穏やかなに表情に戻っていた。


「覚えていないんですか?」


私の首筋には、痛みが残っている。
締め付けた指の痕は彼女には見えていると思う。
動揺一つ見せないなんて……


「アリスさん、顔色が──」
「触らないで!」


指先が振れようとした瞬間、私は彼女に背を向けた。


「あ……すみません」
「私、何かしたのね」
「あの──」
「分かるわ……変だもの!  いつもふと意識を失って目を覚ますと……何かが起きていて……」


“いつもふと意識を失う”……?
妙に引っ掛かった。


「リコリスさ──」
「そうよ、私のせいで……あぁぁ……」


と、何かを思い出したように、何かに怯えるように頭を抱える。


「落ち着──」
「いやぁぁあああ……タスクー!!」


私は思わず、リコリスさんを抱き締めた。


「大丈夫です……タスクさん、ちゃんと待ってますから」


そう言って、下で待っている二人を見た。

長い眠りから覚めたばかりのリコリスさんは不安なんだよね──?

当たり前だけど、返事はない。



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