Doll 14ーRipe fruit and spider line
「うわぁ~……きれい」
リンネは目を輝かせながら空を見上げていた。
「……花火は初めてか?」
「はなび?」
「空に咲いた花の事だ」
「うんっ! セツナは初めてじゃないの?」
「実際、見たのは初めてだ。僕もラセンも……」
と、膝の上で寝息を立てているラセンの髪をそっと撫でた。
「何で見たの?」
「……本の中」
セツナは、どこか寂しそうな表情で空を見上げる。
「じゃあ、同じだね!」
「同じ……?」
「初めて見たんだもん、あたしと同じっ!!」
リンネが見せた無邪気な笑顔に彼の表情が少し和らぐ。
「そうだな」
「ラセンも見れれば良かったのに」
「起きてから、嫌と言う程話してやればいい……きっと喜ぶ」
「うんっ!」
セツナはリンネを抱き締めて、「ありがとう」と囁いた。
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