Doll 14ーRipe fruit and spider line
「たす……け……て」
声になった瞬間、リコリスさんの手が首から離れた。
私は咳き込みながら彼女を見る。
「ごめん……なさい……私……あぁぁ……」
リコリスさんの様子は明らかにおかしい。
「リコリスさ──」
「助けて」
彼女は、はっきりと言った。
首に残る痛みは、さっきとは別人と訴えている。
「どういう……事ですか?」
「違う、逃げて! 早くしないと……私……」
リコリスさんは震える手で自身の肩を抱き締める。
「早く……私は自分ではなくなる……そして──」
リコリスさんが何かを言い掛けたその時、空に大輪の花が咲いた。
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