Doll 13ーCradle




「何よ……私の気も知らないで……」
「不満があるなら、言えばいい」
「セツ……ナ」


彼はドアの前で腕を組んで立っていた。


「僕達は互いを知らなすぎるからな」


セツナとの距離が一気に近付く。


「……大丈夫」
「ハルクが気になるのか?」
「違──」
「それはだけは……許さない」


殺気立った瞳が私を捉える。


「ラセンの幸せを奪うならば容赦はしない」


動けない。
体が震える……
怖い──


「彼女の幸せの為なら僕は」


セツナは私を包み込むように抱き締める。


「やめて……私はリ──」
「それ以上は言うな。僕を傷付ける言葉なのだろう?」
「……ごめん」
「人の気持ちは、いつ変わるか分からない」


ドクン──……
心臓が震える。
私がリクを好きじゃなくなるって言われた気がした。


「そう、アイツが言っていた」


アイツ……?
誰の事を言っているんだろう。


「アリ……この部屋は朝からアツいな」
「リンネか」
「ち、違うの……これは──」
「大人の関係だ、覚えとけ」
「お、おぉ……」
「ちょっと!  リンネにある事、無い事教えないで下さ──」
「……漸く、アリスらしくなったな」
「え──」
「その方がいい」


ラセンを助けた日から、セツナはよく私を“アリス”……名前で呼ぶ。

気に掛けてくれたり、怖さを見せては優しさでカバーする。
彼は本気で私を好きになろうとしているのかもしれない。



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