Doll 13ーCradle
「お前も行くんだって?」
「え?」
顔を上げると、ハルクが立っていた。
その隣にはラセン……
「私は──」
「良かったな、兄貴に気に入られて」
胸が……ズキンって痛くなる。
「楽しみだな、ハルク!」
「……あぁ」
「ハルクは楽しみじゃないわけ?」
「いや……」
ふと、ハルクと目が合った。
私は直ぐ様、目を逸らす。
……そう、反射的に。
「あぁ……そうかよ」
ハルクの声のトーンが少し下がった。
私のせい……?
「楽しもうぜ、ラセン」
そう言って、ハルクはラセンの肩を抱く。
「お、おう」
流石のラセンも驚いたみたいで、どぎまぎしていた。
「お前もセツナと楽しめよ」
「私は行──」
「兄貴も楽しみにしてた。初めて見たよ、あんな顔」
ラセンが嬉しそうな笑顔を見せるから、“行かない”なんて言えなくなった。
「アリス。ありがと、な」
「……え?」
「それと、兄貴の事を頼むな」
何も言えないでいると、またハルクと目が合った。
「あの──」
「アイツ、あぁ見えてオレより強いし」
「ハル……ク?」
「ちょうど弱い女を守んのに疲れてたとこだ」
今日のハルクは、やけに突っかかってくる。
「何よ……その言い方!」
「昨日だって、お前のせいで皆が傷だらけになったじゃねェか!」
また……
“私のせい”──
「ハルク、やめなって!」
「……お前とセツナ、お似合いだ」
そう言い残して、ハルクは部屋を出て行った。
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