Doll 12-Distance to shrink, love to fade away
「皆の前でファーストか」
セツナが嬉しそうに微笑んで言った。
「おぉ……」
リンネは関心しながら二人を見つめている。
私は……何故か、複雑だった。
伝わってくる鼓動は温かい。
ハルクも何だかんだで嬉しいんだ……
「何しやがんだ!」
「照れんなよ、ハルク。やっと出来たんだから」
「照れてなんか──」
「顔に出てる……」
と、ラセンは背中からハルクを抱き締めた。
「おい、そんなくっつくな──」
「ねぇ、お腹空かない? 空いたよね。私……私、何か作ってくる!」
セツナの手を逃れて、逃げるように部屋を出て行こうとした。
「アリス、危ねェ!」
ドアの桟に足を取られ、転びそうになった私を助けてくれたのは……セツナだった。
「大丈夫か」
「……う……ん」
「どこか痛むのか?」
「平気……」
「おい、アリスが平気って言ってんだろ。いい加減に離せよ!」
「お前達こそ、見せ付けてくれるな」
何か……凄く嫌。
リクに会いたくて溜まらない。
今すぐ会わないといけないって……不安に押し潰される。
「私──」
言い掛けたその時、窓が勢いよく開いた。
「アリス! リコリスが目を覚まし……あり?」
全員が固まる中、リンネだけが目を輝かせている。
勘違いされてもおかしくない状況。
私には、リクがまた遠退いていく気がした──
「あの……誤解ですから」
これがちゃんと言葉になったのかは分からない。
Doll 12-Distance to shrink, love to fade away....END....
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