Doll 1-Heart that failed
「アリス!!」
そう言ってハルクが私を抱き止めてくれなかったら、窓から飛び降りていたと思う……
むしろ、ほっといてほしかった。
「止め……ないでよ……」
私は、ハルクの手を振り払った。
「私は、リクと一緒にいたい……」
私は窓際に立って写真のリクを見て笑った。
そして、再び窓に手を掛ける。
「…………パパ……ママ………………ごめ──」
「助けられる方法があるって言ったら?」
「……え?」
私は、耳を疑った。
「助かるって、リク……が?」
「……そうだ」
「…………リクが……助かる……?」
私は力が抜けて、その場に座り込んだ。
「ただし……」
ハルクは遠くを見つめて言う。
「“Alice Glass”が見付かれば、な……」
「“Alice Glass”……?」
「詳しくは知らねーけど、真実を映し出したり、“心ーイノチー”の浄化が出来るって聞いた事がある……」
「……“Alice Glass”はどこにあるの?」
「“心ーイノチー”と同じように人間の体内」
「じゃあ、誰もが持って──」
「一人だ」
「え……どういうこと?」
「特別なもんがいくつもあってたまるかよ」
「……そう、だよね……」
“心ーイノチー”の浄化ということは、Arice・Dollによって黒く汚されても救えるんだね。
だから、ハルクは“Alice Glass”があればリクを助けられるって言ったんだね!
「“Alice Glass”は誰が持ってるの?」
「お前の体内にあるかもしれねーな」
「私……?」
私は自分の心臓に手を当てる。
「ハルク、ここらへん?」
「バーカ、信じんなよ」
「え?」
「お前じゃねェな」
「何でそんなことが言えるの?」
「“Alice Glass”はアイツも触れんだよ」
「あ……」
リクが私に触った瞬間に顔を歪めたのを思い出した。
「お前には、別の“何か”があんのかもな」
「別のもの……?」
「だから、アイツ……お前に興味を示したのか……」
「ちょっと、一人で納得しないでよ」
「悪りぃ……っと、話を戻すぜ」
「あ、うん」
なんか……誤魔化された気がする……?
「今は気にすんなよ。頭ん中、まとまったら話してやっから」
ハルクには私の考えが時々、分かるのかも知れない。
……私の味方だって信じていいのかな?
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