Doll 11-If a pain turns into strength
「リンネは此処に──」
「一人はイヤだ」
「じゃあ、一緒に行こう……」
音を立てないように下へ降りて玄関を開ける。
「え──」
目に入ったのは、傷だらけで倒れているラセンだった。
「アリスか……役立たずは……リンネ連れて引っ込んで……な」
「ラセン、何が──」
ラセンは目の前を指差した。
そこにはハルクとセツナが立っていた。
セツナは凄まじい程の殺気を放っている。
「よくもラセンを……」
「落ち着け、セツナ。冷静さを失ったら──」
「お前に言われる筋合いは無い!」
言い合う二人の前にリゼルが立っていた。
「今の貴様に出来るのは精々ラセンを──」
「お前には用はネェンダ」
一瞬でリゼルはセツナの懐に潜り込んだ。
「何ぃ──……!?」
そして、殴り蹴り地面に叩きつけられる。
「兄貴!」
「ぐはァ──」
地面に陥没し、セツナは気を失った。
「そんな……リゼルがどうして……」
「お前の目は……節穴か?」
「アリス、……あいつ、黒いよ」
リンネが私の後ろで怯えながら言った。
彼女の言った“黒い”は、リゼルが口から吐き出している煙だった。
「Arice・Doll……」
リゼルとスージィが重なる。
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