Doll 10-Sweet fruit be violated in an evil design




「ん……」
「良かった」
「アリス?」
「少し、考えてみたんだ。やっぱり、あれはハルクじゃない」
「何でそう言える?」


今までずっと、守ってくれた。
殺すつもりなら直ぐにでも出来たはずなのに。

それに──


「突き飛ばされた時、“あたし”って言った」
「オレが?」
「うん」
「そう言ってるのは二人しか知らない」
「あぁ。ラセンと──」
「おう、呼んだか?」


と、いきなりラセンが現れてハルクに抱き付いた。


「いってェ!!」
「ハルク、その怪我はどうした?」
「バチが当たっただけだよ」
「まさか、またアリスが?」
「またって何だよ」
「……覚えていないのか?」
「今朝、ハルクが自分で言ったんだよ」
「まさか──」


ハルクと目が合って頷く。


「許せねェな」
「だよな、ハルク」
「あぁ」
「やるのか、アリスを」
「アリスじゃねェよ」
「何よ!  今、許せないって……」
「コイツだろ?」


と、窓からタスクさんとリンネが入ってきた。
リンネはタスクさんに腕をしっかりと掴まれていた。


「お前、どういうつもりで──」
「待って、ハルク」


私はハルクを宥めてリンネに向き直る。


「どうして、あんな事をしたの?」
「全部、アリスとハルクが悪いんだ……っ」


そう言って、リンネは懐中時計をハルクに投げ付けた。


「身に覚えがねェんだよ」


と、時計を叩き落とす。
床に落ちた時計は罅が入って、秒針も止まっていた。


「リンネ──」
「あたし……死にたくないよぉ……っ」


リンネはそう言って泣き崩れた。

それってどういう意味?
私達と何か関係があるっていうの──?





Doll 10-Sweet fruit be violated in an evil designー甘い果実は毒牙に犯されてー....END....
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