Doll 1-Heart that failed
「リクは…………Arice・Dollを受け入れた」
想像は当たった……
でも……どうして……
「どうして、リクは受け入れたの?」
「重てーもんを背負ってたんだ、きっとな」
「重たい……もの?」
「過去の荷物ってやつだな。“心ーイノチー”と同じように誰しもが持ってんだろ」
「過去の荷物って、イジメとか……?」
「……あぁ」
「リクから聞いた事ないよ、そんな話……」
「言えねェんだよ。言えねェから重てー荷物になんだよ」
「……じゃあ、リクにもあったの?」
「…………知るかよ……」
ハルクは、リクじゃない。
聞いたって分かるわけないのに……
「……ごめん…」
「謝る事じゃねェだろ」
ハルクの声は耳をすり抜けていく。
「…………ごめんね……」
私は、写真のリクに謝っていた。
気付いてあげられなかった事。
そして、Arice・Dollから守ってあげられなかった事……
涙は必死にこらえた。
写真のリクが笑っていたから──
「ねえ、ハルク……」
ハルクが横目で私を見る。
「“心ーイノチー”がさ……“心ーイノチー”が壊れたらどうなるの?」
スージィの事が頭を過ぎった。
「“心ーイノチー”亡き者はArice・Dollに弄ばれるか、死ぬ……弄ばれたとしても末路は……」
ハルクは一瞬、しまった! という表情を見せたが平然を装った。
「……Arice・Dollは“悪魔”でもあり──」
「…………し……ぬ……」
ハルクの言葉が耳に入らない……
リクが……死ぬ……?
頭の中が真っ白になりそうだった。
「やだ…………リク……死んじゃうの?」
「…………」
「リ、リクは……死なないよね?」
「…………」
ハルクは俯いたまま何も答えようとはしない。
「リクは…………リク…………やだよ……」
幸せは、なんて脆いんだろう……
「…………リクがいない世界には居たくない……」
言葉が……
体が勝手に動く。
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