Doll 10-Sweet fruit be violated in an evil design




「もう……いや……」


“いいな、計画実行の合図は電話だ”
電源を切る事も、逃げる事も許されない。


「何、泣いてんだよ……もう怒ってねェよ」


ハルクの声に思わず距離を取ってしまう。
恐怖が蘇る……


「ど、どうしたの?」
「ケータイ、鳴ってっけど」
「え──」


震える手で着信画面を見る。

“リゼル”──


「出ねェのか?」


恐怖で体が凍りつく。


「アリス?」
「……ないで……」


震えて言葉がままなら無い……


「お前が泣いてんのと関係あんのか──?」


と、ハルクは私からケータイを取り上げた。


「リゼル? コイツって……おい、アリスに何の用だ?」


電話越しにリゼルの声が聞こえる。
何を言っているのかは分からない──


「大丈夫だ、もう心配はいらない」


電話を切ってハルクが言った。


「アイツとケリ、つけてくる」


出て行こうとするハルクの前にタスクさんが立ち塞がる。


「オレっちはアリスの様子が気になるけどな」
「直に落ち着くと思いますから」
「お前、何かしたのか?」
「オレじゃなくってリゼル──」
「ハルクが怖い、そんな顔してっけど」


タスクさんは私を包み込むように抱き締めてくれた。
優しさに包まれた瞬間、涙が溢れ出す──


「アリス……?」
「お前は行く所があんだろ?」
「コイツをほっとけません……」
「都合のいいヤツ」
「え?」
「些細な変化にも気付かねェ……契約してんだろーが!」


タスクさんが声を荒げる。


「安心しろ……殴らねェ。その代わり、無傷で帰って来いよ。じゃないと……」
「……はい」


弱々しい返事をしてハルクは出て行った。


「アリス。落ち着いてからでいい、オレっちに話せ」


私は小さく頷いた。



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