Doll 10-Sweet fruit be violated in an evil design
「許さないよ、アリス……」
「え──」
「お前はラセンを傷付けた。当然だろう?」
学校から帰ると、殺気立ったラセンとセツナが玄関前で待ち構えていた。
「何を言って──」
「ハルクを襲ったそうだな」
「な……」
何で、その話をこの二人が知っているの……?
「心当たりもあるんだ……最低! あたしだって、まだ……それなのにアリスは──」
「言うな、ラセン」
と、セツナは私に向き直る。
「誤解なの!」
「ハルクの格好が真実を語っていたように見えたが?」
「あんたの髪の毛も付いてた」
「もう言い逃れは出来ない」
パァン──
セツナの手が私の頬を思いきり打った。
「痛っ」
「あたしの心はもっと痛い」
ラセンが私の髪を鷲掴みして言った。
「今回は何も無かったって聞いた。けど、許されることじゃない。分かるよね?」
「痛い……っ」
「何だ、謝罪も出来ないのか──」
「それくらいにしとけよ」
「タスクか。お前は引っ込んでろ」
「誤解だったとしてもか?」
「……何?」
セツナは眉をしかめて、タスクさんを見る。
「アリスが違うって言ってんだ」
「まさか、それだけで信じたんじゃないだろうな?」
「悪いか?」
「馬鹿馬鹿しい。行くぞ、ラセン」
「けど──」
「真相は自分の目で確かめる──」
セツナとラセンは私を睨みながら消えた。
「ホッペ、痛かったよな……アイツ、容赦しねェもんな」
「タスクさん……」
「んにゃ?」
「ありがとう……ございます」
言葉を信じてくれて、味方してくれた事が嬉しくて涙が溢れてきた。
「……オレっちが先にハルクを見付けていれば起きなかった事かもしれないから」
「それで、ハルクは?」
「何処にも見当たらない……セツナ達とは接触したみたいだけどな」
そう、ハルクは学校にも居なかった。
何処に行ったんだろう──
「そんなに心配?」
「そんなわけじゃ──」
「大丈夫だって」
タスクさんの手が優しく私の頭を撫でてくれた。
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