Doll 1-Heart that failed




「Arice……いや、“Arice・Doll”がアイツの名前だ」
「ありす…………どーる?」


ハルクが小さく頷いた。

私と同じ名前……
だけど──


「Dollっていう事は──」
「人形なんて可愛いもんじゃねェぞ。アレは悪魔だ」
「悪魔……」
「スージィだっけな。アイツの様々な欲望と嫉妬……Arice・Dollは蘇ったんだ」
「……蘇った?」
「あぁ。だか幸いにも、まだ赤ん坊同然だ」


夢みたいな話……
だけど、もう……否定出来ない──


「赤ん坊なら、大した事は出来ないよね」
「そうでもないぜ。お前も見ただろ。リクがスージィを……」


ハルクは言葉を濁した。
私に気を使ってくれたんだと思う。


「……Arice・Dollは人の“心ーイノチー”を食べて成長すんだ」


そうだ、リクも……Arice・Dollも言っていた……


「…………ねえ、“心ーイノチー”って何……?」


ドクン……ドクン…………

心拍数が上がっていく……


「人として必要なもの。それが“心ーイノチー”だ」
「人として必要?」
「喜怒哀楽。その他、生きている上での感情全て」
「全ての感情……?」
「人を好きになる、それも“心ーイノチー”あるからなんだぜ」


だから……
ハートの形で淡いピンク色だったんだ。
凄く温かくて優しさに包まれているような……

ちょっと待って。
リクの“心ーイノチー”は黒に染まった。


「…………リクは……どうなっちゃうの?」


私の声は震えていた。

ハルクが何を言うのか想像できてしまったから……



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