Doll 9ーThe day when she was broken




「リコリスさんとタスクさん。そして地震が関係している?」
「分かんねェっての」
「黒い霧ってまさか……Arice・Doll?」
「……断言は出来ないな。」
「今も眠ったまま……なの?」
「ああ。タスクさんは、ありとあらゆる策を試したんだ。けど……」


ハルクは目を伏せる。
タスクさんの辛さや悲しみを感じているんだと思う。


「それから暫くして、タスクさんは姿を消した」
「リコリスさんには……会ったのかな」
「多分な」
「さっきは様子が変だったよ」
「嫌な夢でも見てたんだろ」
「……だといいんだけど」
「オレさ、タスクさんのこんな穏やかな表情(かお)、久しぶりに見たかも」
「私は……初めて見るよ」


タスクさんへ伸ばす私の手とハルクの手がそっと触れる。
と、ハルクは私の腕を優しく握った。


「あの……」
「アリス」
「は、はい」
「契約の事、アイツには言うなよ。ややこしくなる」
「アイツ?」
「それから──」


不意にハルクの顔が近付く。
これって──……


「ちょっと、何をしてるワケ?」
「わぁっ、ラセン?」
「汚い手、離しなさいよ!」
「悪い。オレから掴んだ」
「それ、どういう事?」
「アリス、リンネにも気を付けろ」
「う、うん」
「ねえ!  リンネって誰よ」
「タスクさんが寝てる。行くぞ、ラセン」


と、ハルクはラセンの手を引いて出て行った。
気のせいかもしれない……
ハルクの匂いが手に残っている。
どうして、こんなに気になるの──?

“一心同体だから”お互いを知りたくなるのかな……



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